体育の授業時だった。準備運動が終わってみんなが整列した。小岩がその日の授業内容を説明しかけた時、後ろで誰かが叫んだ。
「あれ木村じゃねぇ?」
皆がそいつの指差した方向に注目した。皆が校舎の屋上を見上げた時、宇美は飛び降りる寸前だった。みんなが一斉に騒いだ。
「大変だーっ!誰かーっ!」
他の学生達も窓からグランドを覗いた。そして屋上を指差す方向を見て校舎中がざわつきだした。
「きむらーっ、馬鹿なマネは止せーっ!」
小岩が叫んだ。小岩の声は宇美には届かなかった。もう宇美は何にも聞こえなかった。宇美は空中への一歩を踏み出した。