まるで犯罪者みたいに宇美は学校をあとにした。必死で自転車をこいだ。クラス中の高笑いに追いかけられている気がした。笑っていたみんなの顔が何度も何度も頭を駆け巡っていた。「ウワァー!」
宇美は叫んだ。気が狂いそうだった。
宇美は浜辺に来ていた。防波堤に腰かけて穏やかな波を見ていた。いつもは癒してくれるはずの海でさえ、自分を軽蔑しているように思えた。恋することは罪なのだろうか?人を好きになることはいけないことなのか?さっきの悪夢が波とダブって押し寄せてきた。宇美はめまいの嵐にただただ茫然とするしかなかった。