昨年の夏休みだった。宇美は裕二と久々に遊んだ。その時に裕二が尋ねた。
「お前、ミクティ知ってる?」
「何それ?」
「ソーシャルネットワーキングサービスだよ。まぁ、コミュニティサイトだね。」
「お金かかるの?」
「いや、無料だよ。ただし会員の紹介がないと入れないんだ。もし興味あるなら、紹介するけど。」
「うん、入りたい。」
「よし、わかった。じゃあ紹介するよ。」
こうして裕二“ユージ”は宇美にミクティを紹介してくれた。愛称は“海”にしていた。名前と同じ読みだが、愛称にはちょうどよかった。宇美はこれで本音を話せる気がした。しかし、最初はウェブ上とはいえ、宇美はコミュニケーションをとることに抵抗を感じた。自分の内面を他人に知られることが恥ずかしかった。周りでやっている人が多いことがわかって、少しづつ日記を書くようになった。日ごとにマイミクもできて、コミュニティにも積極的に参加するようになった。今ではミクティでのコミュニケーションが楽しみになった。日記も毎日更新した。宇美は常に返事メールを待っていた。