緑が爽やかな風に揺れていた日、バイト先に速水が買い物に来た。速水は宇美を見るなり、ちょっと照れ臭そうに右手を小さく上げた。宇美は軽く会釈して
「いらっしゃいませー。」と声を出した。レジに来るなり、
「おっ、頑張っているな。」
と宇美に話しかけてきた。「はい、ありがとうございます。」
宇美は少し照れた。速水はブラックコーヒーと“凍結”という缶チューハイを買っていった。
速水が帰った後、隣にいた酒巻が、
「今の人、知り合い?」
と聞いてきた。宇美は
「学校の先生です。」
と答えた。酒巻は、
「そう。」
と言いながら買い物カゴをもとの場所に戻しに行った。