一年生時の担任だった速水はクラスが変わったが、同じ学年を担当していた。二人は時々帰りが一緒になった。二人は世間話以外にもいろいろなことについて話すようになっていた。アライグマな外見とはうらはらに話が面白くて、一緒にいて楽しかった。速水は感覚が若かったので、話していて違和感を感じなかった。Dバックをしょっていて、新聞をいつも持ち歩いていた。特にスポーツが好きらしくて、プロ野球の話題には目がないと言っていた。牙オッテカキーンズの大ファンらしかった。牙オッテは地元の球団だ。ワ・リーグの中では弱い方で、ここ何十年と優勝から遠ざかっていた。速水はファンクラブにも入っていると言っていた。宇美は結婚しているのか、していないのかが気になったが、さすがに遠慮して聞けなかった。いつしか宇美は速水を意識するようになった。彼を見る目が変わってきていた。