「姫さま。
たしかに変わった飾りかもしれませんけどね、この輪を取ろうと思ってはいけませんよ。」



マルタがそんなことを突然言い出したのは、新しい服に着替えて、髪も元の1本のみつあみに結い終わったときだった。


半分輪飾りのことなど忘れていたガルンは一瞬ぽかんとしてしまった。




「へ?・・・ああ、うん。
でもまあどうせすぐ取っちゃうものでしょ?あと何日かのことじゃない。」



成人したら髪は結い上げてしまうので、もう輪っかをぶら下げることもない。


どうしてそんな注意をするのかとマルタの顔を見上げたガルンは、そのまなざしが真剣なことに驚いた。




「だからこそです。
無事に成人をお迎えになりたいのなら、そのお守りは外さないこと。

約束してくださいまし。」




わけが分からないまま、黙ってうなずくしかなかった。