マルタのふくふくした手がガルンの視界に現れて、これから着る服の上にあるものを置くのをなんとなく見やったガルンは、ふと思ったことを口にした。


「・・・変な飾りだよね、これ。

こんなもの付けてるのはノルムだけだって前誰かが言ってたっけ。」



それは、髪に結える古びた金の輪の飾りだった。

7歳から成人前の少女はみんな長くのばした髪をみつあみにして、その毛先でくるりと輪を作り、そこにこの輪飾りを結えつける。



余計な装飾はなく、本当にただの輪だ。

金製だったり銀製だったりメッキだったり、はたまた木製だったりするけれど、真円の形はみな同じだ。

結える髪もみつあみは1本だったり2本だったり4本もあったり、いろいろ変化はあるが、輪は1つと決まっていた。