「姫さまはそんなことを気にしなくていいんですよ。
むしろもっと身だしなみには気を使わないと。

いずれ外へ嫁がれたら、ひと月もほったらかしというわけにはいかなくなるでしょうしねえ。

ジュネリやガレティアなんかの貴族様方は、まるで池のように大きな湯船でお湯を使うと聞きますよ。それも毎日ね。」



ガレティアの名が出て一瞬ドキッとしたが、単なる世間話のようだった。
別にこの前のトールとの話を聞かれたというわけではなさそうだ。




(それにしても・・・それとこれとは話が別でしょ)




マルタの言ったことにガルンは内心もやもやせざるを得なかった。


いずれガルンがどこに嫁いでどんな風呂に入らされることになろうが知ったことではない。

水が少ないのは今現在、ガルンのいる町のことなのだ。