それを聞いてガルンもハッとした。


トールはそんな2人を見てただ笑っている。
ただ笑うだけで、否定も肯定もしない。



「・・・何それ。ますます意味分かんない。」



長いみつあみに結われた髪をぐしゃぐしゃと掻きまわすガルンを尻目に、ルーはトールを見ながらほとんど独り言のようにつぶやいた。



「・・・俺は、何か帝国から各地へのお布令みたいなものなら・・・いろんなとこを周ってノルムに来た使者なら、考えられなくもないと思った。


でも、最初からノルムに?
いったい何のために?」



謎深まる使者はただ笑う。



「従者殿はなかなか切れるようだね。
さっきの地理の講義も分かりやすかったし、案外いい人材かもしれないな・・・」



こちらも独り言のような音量で、最後の方は2人にはまるで聞き取れなかった。



そしてまたもしばらく何かを考え込んだ後、おもむろに立ち上がった。