「――ふむ。おもしろいね。」



トールはますます楽しそうだ。



「ここに来るために長いこと旅をして来たけど、この肩書きを飛び越えて来たのは君が初めてだ。

肩書きがなければ俺なんかただの小汚い異邦人だよ?」



ガルンの眉間のしわはますます深くなる。



「その肩書きもあなたのその格好も何もかも納得いかないから、まずあなたのことから知りたいって言ってるの。

・・・ていうか小汚いっていうよりかなり汚かったけど」


「ひ、姫」



ルーは慌てていつもの調子を取り戻し始めた主人の袖を引いたが、そこではたと何かに気づいてトールの方をまじまじと見た。




「あの・・・聞き間違いでなければ、今、“ここに来るために”って言いました?」