「教えてよ。
あなたは何者?何をしにここに来たの。」
トールは顔を上げ、何がおもしろいのかクスッと笑った。
「何者かはもう名乗ったはずですよ、姫君。」
――無礼なことを言われても笑い、困った状況だという割に今も楽しそうに笑う。
やはり変な男だ。
対するガルンはお得意のしかめツラだ。
がっちり腕を組んで、床にかがんだままのトールの前に仁王立ちである。
「その敬語やめて。意味分からないし。
“ガレティア皇家の使者”っていうのは肩書きでしょ?・・・とてもそうは見えないけど。
あたしは、あなた自身が何者かって聞いてるの。」