「色々な意味で・・・?」


聞き返したガルンに微笑んで見せて、トールは持たれていた戸口から身を起こした。



「ああ。

ガレティアの者だということも、それに似つかわしくない流浪人みたいな格好もその通りだ。

騎馬も従卒も布令役もいないみすぼらしい使者。それが俺だ。」




部屋の中でもない廊下でもない、ちょうど戸の境目で、トールはガルンを見てまっすぐに立った。


その目がもう笑っていなかったので、ガルンも思わず背中をピンと伸ばした。
口元は相変わらずおもしろがるような色を浮かべていたけれど。




そしてそのとき初めて、ガルンはトールがもう汚れた旅装をといていることに気がついた。


この夜中まで城にいるということは、父が客間を与えたということだ。

当然、客人はすでに湯を使い、ノルム風の清潔なチュニックとズボン姿に着替えている。