いつのまにか部屋のドアが開け放たれ、そこにかの青年がもたれて立っていた。
いつから聞いていたのか、暖炉の炎に照らし出された彼は腕を組んで苦笑を浮かべている。
「い、いつからそこに」
笑いをひきつらせてガルンが言うと、トールはニヤっと2人の顔を見返した。
「さて?最初にノックしたのはけっこう前だけど。
なんだかじたばた楽しそうな音がしていたからねえ。気付かなかったかい?」
たぶんガルンがルーの頸動脈を絞めにかかっていたときだ。全く気付かなかった。
・・・ということは、ガルンの罵詈雑言はすべて聞かれていたわけだ。
「で?俺の正体について結論は出たのかい?」
トールがおもしろそうに言うと、2人は顔を見合せた。
「いやあ・・・それは・・・」
口ごもる2人に、トールは恐ろしい解答を突きつけた。