「どうした、姫?」



ルーが呼びかけてもしばらく口をつぐんで考えこみ、しばらくしてからガルンはぽつりと言った。



「ねえ・・・もしかしてあいつ・・・トールって、魔族なのかな。」



あの、何の気配もなく、降って湧いたような現れ方。

まさしく魔法のようではないか。
それに、見たこともないあの容姿。



ガルンの言葉に、ルーもはっとして少し目を見開いた――が、すぐにゆるゆると首を振る。



「いや、それはない・・・と、思う。」


「どうして?」


「魔法族国家に、紅を主にした旗を持つ国はないからだ。」