とにかく体を動かす方が好きで、ガルンは座学のほとんどが苦手科目だ。
しかし世界最大の国の概要くらいはさすがに覚えている。


まるで満点を取ったかのようなガルンの得意顔に、ルーは軽くため息をついた。



「そんな常識知ってたくらいでえらそうにするな。

それに、学問上では魔族と人間、とは呼ばない。

魔法族と非魔法族、な。」




大陸には2種類の人間がいる。



化学では合理的に説明できない不思議な力――いわゆる“魔法”を行使する人間・“魔法族”と、その力を持たない普通の人間・“非魔法族”だ。




本気であきれた顔をするルーに、ガルンはむっとして言い返した。


「分かってますー。こまかいんだよ、ルーは。だいたいいつも・・・」



さらに文句をつけようとして、ガルンはいきなり黙った。

ゆっくり地図に目を戻し、何かを考えこんでいる。