そこには、ひときわ大きな国の名があった。
広大な平原の名を冠したその国は、今大陸で最も権勢を誇る巨大な帝国だ。



ルーの言葉にガルンは一度うなずいたが、地図に目を戻すと首をかしげた



「確かにこれは真っ赤だけど・・・。でも、こっちの緑のやつが国旗なんだよね?」



ガルンが示すその国名の傍らには、2種類の旗が描きこまれていた。


ひとつは、真紅の地に金色の鳥を描いた盾の形。

もう一方は、草原の緑の中央に白い王冠を染め抜いた横長の旗だ。



「“ガレティア・ノエニス”は大きな2つの国が合体して新たにできた名前だ。地理で習ったよな?」



ルーがにやっとしてガルンの顔をのぞきこむと、彼女はふふんと鼻で笑った。


「いくらあたしでもそれくらい覚えてるもん。

――帝国のおおもとになったのが、魔族の国“ガレティア神国”で、その旗がこっちの紅いやつ。今は皇帝のマークなんでしょ?

今使ってる緑の旗は、人間の国“東ガレティア王国”とくっついた時にできた新しいやつ!」