「そうだな。国があったかいと、火とか花とか太陽とか、明るいモチーフが多いから。

まあ、赤・黄の旗のクルテミアは半分北方にかかってるし、南だけとも言えないけど。」



地図の上の方には、陸地を右から左へざっくり切り裂く大河が描かれている。
北原の民が“裂き河”と呼ぶその巨大な流れは、北原とそれより南の地をへだてていた。


河より北は北方小国群、河の南は大きな国々がしのぎを削るガレティア平原、さらに南方には常夏の半島や沙漠が広がっている。



この地図は大陸の中原(ちゅうげん)、ガレティア平原周辺を切り取っていた。




そのページをまじまじとながめたガルンは、ひとつの旗に目をとめた。



「ねえこれ、紅いよ?」



ガルンの指先を目で追って、ルーはうなずいた。



「ああ。紅い旗といえばここが思い浮かぶよな。
“ガレティア・ノエニス神聖帝国”・・・。」