「・・・それでさ、ルーはあいつがどこから来たんだと思う?」


ようやく幼なじみを解放すると、ガルンは声を落して言った。
ルーは思わず苦笑する。


「どうでもいいんじゃなかったのか?」


ガルンはちょっと口をとがらせると、ルーの肩を小突いた。


「うるさいな。あやまったからいいでしょ!

さっきのは嘘ですー。やっぱり気になりますー!
あたしだけじゃ、よく分かんないから、ルーの意見が聞きたいですー!」


言いながらぐいぐいこぶしを押しつけてくる。
さっきからやっていることはまるで小さい子どもだが、そこがガルンの憎めないところなのだ。
へそを曲げるとどうしようもないが、けろりとこんな風に甘えてくるのが可愛らしい。



ルーはえへん、と咳払いをひとつすると、腕を組んでえらそうに胸を張った。


「学問がお嫌いな姫様のために、わたしがひとつ“紅旗の使者”について推察をのべてさしあげよう。」


「お願いします、先生。」


ガルンはけらけら笑って、ルーに向かってきちんと正座した。