「しかも!お前では話にならんとはねつけた無礼なよそ者に対して、俺の主人は寛容にも委細問わずに門の内へ招き入れ、おそろしい荒野の夜からその卑しい身をまも、んむむ」
なおも芝居がかった調子で言いつのるルーの口を、いきなり柔らかいものがふさいだ。
「・・・もう、分かった、分かったって!あたしが悪かったよ!
やつあたりしてごめん!」
まばたきひとつする間に、まっ赤になったガルンがルーの首にしがみついていた。白いすべすべした頬が、ルーの耳元にある。
「あいかわらず色気のない抱きつき方だな。」
大笑いしながら口からガルンの柔らかい手をひきはがした。
彼女のもう一方の手はまだしっかりとルーの首に巻きついている。