コップの中から顔をあげたガルンと目が合って、ルーはしまったと思った。



眉はつり上がり、眉間に深い谷をきざみ、口の端はそろって下を向き、小鼻にまでしわを寄せている。

本格的に不機嫌なときの顔だ。
幼なじみであり主人である姫様は、従者の愚問がお気に召さなかったようだった。



「あたしは、ちゃんと取次ぎの役目を果たしたにも関わらず、いざ会見になったら閉め出されたっていうことにムカついてるの。
アイツがどこの誰だろうと知ったこっちゃないってのよ!」




言うだけ言ってぷいと背を向けたガルンに、ルーはやれやれと苦笑した。


10年以上の付き合いだが、このかんしゃく姫のご機嫌の落とし穴がどこにあるのか未だに理解が及ばない。