あの後すぐに閉門の鐘が鳴ったために、ガルンは慌てて町に戻らなければならなかった。

そしてそれには、あのトールとかいう青年を一緒に連れて行かざるを得なかった。




一度閉じた門は、取り次ぎを待つ使者のためであろうとも開くことはない。


そのまま日の出まで外で待たせるわけにもいかず、町に入ってから本物の門番たちにトールを見張らせ、ガルンはひとり城の父の元へ使いに走ることとなったのだ。




「――で、結局姫は何に腹を立ててるんだ?」




ルーは不思議そうにガルンを見た。その小さな横顔は、まさに苦虫を噛んだような表情だ。

しかしガルンの話したてんまつからは、彼女が今現在、なぜ不機嫌なのかさっぱり分からない。



「あのね、ルー。」