ガルンが生まれ育ったノルムの町では、15歳になったその日、男も女も晴れ着で着飾り、家族や親せき、親しい友人たちを招いて宴を開く。



北の高地にあるノルムは寒さと乾燥が厳しい土地で、成人を待たずに死んでしまう子どもの数が圧倒的に多かった。

だからこそ、人々は成人の日を盛大に祝う。




ガルンは町を治める族長の一人娘だった。

祝いは町のどの娘より盛大にと、父も母も城の女中たちも気合を入れてのぞんでいた。