今度はガルンが目を丸くする番だった。

このたそがれの中、互いの輪郭しか分からなかったあの視野で、ガルンの動作を見切ったというのか。



「…さっきは、戦士じゃないって言ってたよね。」


とまどってガルンが言うと、男はふたたびほほえんだ。


「しきたりとして認められてない、という意味でね。
君はとても若いけど、訓練では大人にも勝てるんじゃないか?」



さらに目を見開かなければいけなかった。


確かにガルンは、剣にしろ弓にしろ、同世代の少年たちに引けを取らない腕を持っているのだ。


小さいころからこの姫は女の子らしい遊びより剣や乗馬や狩りに興味を持ち、甘い父は一人娘のためにそれらを習うことを許してきた。




もちろん実戦には出られないが、剣では相手の大人の武器を弾き飛ばしたこともあるし、弓の的当てでは町一番の名人と引き分けた。





しかしガルンは、見た目は普通の少女だ。

特別背が高いとか、筋肉質だとかいうわけでもなく、どちらかというと華奢に見えるくらいだ。
荒っぽい女の子という印象はまず持たれない。外からの客に「乗馬が好き」と言ったら冗談だと思われたくらいだ。




それがなぜ、この男には分かったのだろう。それもほんの一瞬の動きで。