ノルムでは成人するまで武器で人を傷つけることは許されない。戦士ではないからだ。そのことが言いたいのだろう。


しかしそのしきたりを知っているのに、成人して戦士になれるのは男だけというのは知らないのだろうか、この青年は。




「…どうしてそんなことが言える?
番人なんだから、戦士かもしれないでしょ。」



苦い顔でガルンが言い返すと、男はますます楽しそうに笑う。
闇色の瞳が残光にきらりと光った。



「やっぱりまだ子どもなんだね?
本当に15になっているなら、かもしれないなんて言い方はしないだろ。」



ばればれだ。やはりガルンの下手な嘘に付き合っていただけらしい。


門番さん、と男はまたわざとらしく呼びかけた。




「この旅人にはね、黙って門を突破する方法があるんだよ。」