カーン…カーン…カーン…
乾いた大気を裂いて、鈍い鐘の音が3度響いた。日没の合図だ。
次に鐘が鳴ると、ノルムの城門は閉じられる。荒野の危険な野獣から町を守るため、朝まで決して開くことはない。
ぶるる、とイーフェが首を振った。
もういい加減帰りましょうと言いたいようだ。
「そうだね、そろそろ帰ろうか。」
彼女の亜麻色のたてがみを撫でてやると、ガルンは手綱を取った。
丘を下る前に、町の背後にひときわ高くそびえる山に向かって頭を下げる。
「夜と闇の守り神、慈悲深いノルミルド。
貴女に与えられた今日の一日に感謝します。」
しきたりどおりの夕べの祈りを口にして、ガルンは丘を下ろうとした。
そのときだった。