荒野の町ノルム。
ここは、人が住む北の果てだ。
ノルムは自然の恩恵からも人の営みからもへだてられた陸の孤島だった。
町の周囲は乾いた荒野。
大陸中の町々をつなぐ街道は、この荒野を越え、険しい渓谷を下った先の、はるか遠い隣町で途絶えている。
町の北側には、荒野ごとノルムを囲い込むように“冥界の壁”と呼ばれる大山脈がそびえている。
いまだかつてこの山脈を越えた者はおらず、その向こうには死者の国が広がっているのだと信じられていた。
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