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黄昏の荒野を、一騎の馬が駆けていく。



乗り手は灰色の髪をした若い娘――ガルンだった。






癇癪をおこして逃げ出した手前、どういう顔をして城に戻ったらいいか分からなかった。
勢いですっかり遠出の支度をしてしまっていたので、日が暮れるまで乗馬にいそしんできたのだ。


1日中付き合わされた愛馬イーフェは少々不機嫌だった。





岩だらけの丘を登りきると、ノルムの城壁がもう目の前だ。
日暮れの閉門まで、まだ時間がある。






ガルンは丘の頂上で馬を止め、自分の生まれ育った町をぼんやりと眺めた。