そう言うなり、ガルンは母の手を払ってすたすたと部屋を横切って行った。



「ガルン!」

エリザはますます慌てた。ガルンが、いつも外出の時に着る服を身につけ始めたからだ。


チュニックにズボン、毛皮のベストに丈夫な革のブーツと、止めようとする母の手を払いのけながら、ガルンはすっかり遠出できる身支度を済ませてしまった。



「尼僧になるなんてそんな…本気で言ってるんじゃないでしょうね?!」



泣きそうな声で払われた手をもみしだくエリザに、ガルンは答えなかった。




「…何色でも似合う母さまみたいな美人には、あたしの気持ちなんて絶対分からないよ。」



背を向けたまま小さく言い残すと、ガルンはぱっと部屋を飛び出してしまった。



あとには、途方に暮れた母と、無用になった色とりどりのローブが取り残された。