翌日、俺は中村を呼び出した。
「どうしたの?」

薄い化粧はしていても、彼女の目は少し泣き腫らしたのが分かる。

「昨日はすまない。
俺が卑怯だった」

中村は自分の気持ちをぶつけてくれたのに、俺は本心を隠し、きれいごとを言っただけだった。

「俺は山田が好きだ。
見ているだけなんて本当は嫌なんだ」

「何で私に言うの?
昨日振られたばかりなんだけど」

中村がふくれるのは当然だ。
だけど。

「中村に聞いて欲しいんだ」

中村と乗り越えないと、きっと俺は前に進めない。

「四年前、中村と付き合ってダメになったとき、俺はもう期待しなくなった。
生徒と上手くいくはずなんてない、恋愛なんかしてはいけないと俺は学習したんだ」