「これ、どうぞ」

職員室では、女性の先生方にチョコレートを渡される。

受け取る顔は引き攣っていないだろうか。

生徒と違って、先生方にはお返しをしないとな、と内心ため息をつく。

林原は甘いものがあまり好きじゃないから俺よりも困っているだろうな、と横目で見れば、案の定、彼も隣の席で硬直している。

もらったチョコレートを机の上に散らばらせておくわけにもいかず、俺は急遽、引き出しの一つを整理してとりあえずその中に突っ込んでおく。

毎年同じようなことをしてるくせに進歩しないものだ、と我ながら思う。

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「佐々ちゃん、佐々ちゃん」

放課後の廊下で俺は呼び止められる。

立っていたのは隣のクラスの女子が三人。