「プレゼントありがとう」

彼女の言葉に少しホッとした。
正直、山田くらいの年齢の子が何を欲しがるのか分からなかったから。

でもそんなことを言って、またおじさん呼ばわりされるのは御免だ。

「でもね、チケットは困る」

「あれ?
この間、行きたがってなかったっけ」

山田が無理難題をふっかけてきたのは記憶に新しいのに。

電話の相手が山田だと分かったらしく、洋平は俺の肩を叩くと手を振って去って行った。

彼なりに気を遣ったのだろうか。

「私は先生と一緒に行きたかったんだよ。
チケットだけもらっても困る」

洋平に手を振り返しながら、思わず苦笑した。

俺はやっぱり鈍いようだ。

「そうか」