「じゃあ俺たちはそろそろ帰るんで」

俺は座ったばかりの洋平の腕を掴んで立ち上がる。

「まだ飲み足りないんだけど」

洋平の言葉を無視して俺は会計に向かう。

「―――佐々本先生!」

会計を終えて店を出ようとしたところで俺は呼び止められた。

振り返ると、佐藤先生が立っていた。

「先日、林原先生にもう一度告白されたんです」

俺は、そうですか、と言う。

「何て返事をしようか、さっきまでずっと迷ってました」

彼女は一度口をつぐみ、息を整えた後続けた。

「だけど胸のつかえが取れたからかな。
やっと決心がつきました」

俺は無意識に微笑んでしまう。

「見る目あると思いますよ」

俺の言葉に佐藤先生は穏やかに笑った。