「―――あれ、佐々本?」

不意に声をかけられ、振り返ると林原と佐藤先生が立っていた。

意外な組み合わせだ。
顔にそう書いてあったのか、林原は俺の横に座ると、

「付き合ってんだよ、俺たち」

しれっと答えた。

俺が驚いて佐藤先生を見ると、彼女は苦笑して首を振る。

「嘘よ。
たまたまそこで会ったの」

彼女はそう言うけど、その表情はまんざらでもなさそうだった。

クリスマスに、たまたま出会ったからと言って、全く気がなければ一緒に飲み屋には入らないだろう。

佐藤先生の穏やかな笑顔にホッとした。

彼女を傷付けたのを申し訳ないと思っていたから。

少しだけその胸の痛みが軽くなった気がするのは、自分勝手過ぎるだろうか。