頭の中に一瞬武内が浮かんだ。
そういえばさっき武内から、これから山田と一緒にカラオケに行くとかメールが来てたっけ。

「そのときはそのときだよ」

俺はビールを流し込み、

「絶対奪い返してやる」

とつぶやいた。

俺のその言葉に、洋平は目を丸くする。

「お前変わったよ」

俺も苦笑した。
その自覚はあったから。

「その執着心を学生時代の女たちが見たら、悔しがるな」

洋平の言葉に、確かに、と思う。

今までこんなに誰かに執着したことはなかった。

それくらい、山田は特別なんだ。

「ほっとけ」

俺は少し膨れながらつぶやいた。