僕には生まれてからこの歳までの記憶が一切ない。
別に不便はない。
ただ日々を淡々と過ごしている僕にとって、過去の記憶なんてものは必要ないのだから。
僕を生んだ親の顔なんて知らなくても良い。僕の親は、先日亡くなった老夫婦だけだと思っている。
彼らといつから一緒に過ごしていたかは分からないが、僕は彼らが好きだったし、彼らも僕を愛してくれていたのだと思う。
だから、彼らは今後生活に困ることなどないだろうというほどの財産を残してくれた。
僕はそれらの金で生活を送り、いつものとおりに学校へ通う。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…