年下のアイツと過ごす? クリスマス・イブの夜に・・・

「その気持ちを弄びやがって・・・
おまえなんかぶっ殺したる!!」


「おいっ!! やめろ!!」


政文も数人の男の前では
身動きが取れずにもがくだけ・・・


「ちっ・・・」


阿部部長は男性社員に起こされて、
血が出ている唇を拭った。



「おいっ、誰か警察に電話しろ!!
こいつを突き出せ!!」


阿部は男性社員にそう怒鳴ると、
政文を睨みつけて去って行った。



政文・・・


政文はこのビルの警備員に取り押さえられ、
そのまま連れて行かれた。



政文・・・


私は政文が連れて行かれるのを
見ているだけしかできなかった・・・


政文・・・

なんであんなことを・・・?

私のために・・・?




「あなたのせいですよ。」


えっ!?


私のそばに次原愛美が立っていた。



「あなたのせいで
政文はこんなことを・・・

政文がクビになったら
どーするんですか?」


政文が・・・クビ・・・?



「政文がいない毎日なんて・・・
考えられない・・・」


愛美はポタポタと涙を流した。


「次原さん・・・」


「責任とってよ・・・
あんたが責任とって、
政文が辞めないようにしてよ!!」


「・・・・・」


「あんたが辞めればいいのよ・・・」



そうだ・・・

私だ・・・


辞めなければいけないのは
私の方だ・・・


政文は関係ないんだ!!


その日、結局政文はあのまま
オフィスには戻って来なかった。



次の日、政文は会社に来なかった。


政文・・・


昨日のことは社内では
広まってはいなかった。

数名の男子社員だけしか
見ていなかったので
部長が口止めをしたんだろう。

部下に殴られたなんて格好悪くて誰にも知られたくないはずだ。


けどもし、警察に突き出していたら、
政文がクビなんかになったら、
絶対にその理由は広まるはずだ。



政文はどうなったんだろう・・・?


よし!!



私は政文があの後、
どうなったのかが知りたくて、
美和子さんの下へ行った。


「美和子さん!!」


「あら、麗奈。
どうしたの? 元気になった?」


「はい、おかげ様で!!
それより美和子さん、
社長に会わせてもらえませんか?」


「社長に?」


美和子さんは社長の信頼も厚いし
重要なポストにも付いている、
だから社長とも接触があるんだ。



「社長に何の用?」


「実は・・・」


私は昨日の出来事、
これまでのことを美和子さんに話した。



「そう・・・そんなことが・・・
わかった、社長に会わせてあげる。」


「本当ですか?
ありがとうございます!!」


私は深々と頭を下げた。


数分後、社長の下から
美和子さんが帰って来た。


「ごめん、社長は会えないみたい・・・」


「そうですか・・・」


「でも、政文のことは聞いてきたよ。」


「えっ!? 本当ですか?」


「うん。 政文は
依願退職したみたい・・・」


「依願退職?」


「うん、昨日のことで、
社長はとりあえず謹慎処分を
出したみたいなんだけど、
政文は辞めるって言ったらしいの。」


「政文が・・・」


なんで・・・?


政文・・・


「美和子さん、政文の住所って
調べられます?
あいつ昨日からずっと携帯の
電源を切っていて・・・」


「わかった。 個人情報だから、
すぐには無理かもしれないけど、
なんとか調べてみる。」


「すいません、
よろしくお願いします!!」



美和子さんは交流関係も広い、
きっと調べてくれる。



政文・・・

あんたって子は・・・


私に何も言わずに辞めるなんて、
百万年早いわよ!!


私はそのまま仕事に戻り、
美和子さんの連絡を待った。


部長も今日は休みらしい、
風邪だということだけど・・・

多分、嘘だ。


あれだけ政文に殴られたんだ、
顔が腫れ上がってるに違いない。



とにかく今は待つだけ。


美和子さん・・・

お願いします。



そして、もうすぐ定時って時に、
美和子さんからメールが来た。



来た!!


メールには住所が書いてあった。


そして・・・

『麗奈、絶対に捕まえて来い!!』

と、書かれてあった。



美和子さん・・・

ありがとうございます!!



そして定時の時間を待ち、
美和子さんにお礼のメールをして、
私は急いで政文の家へと向かった。