年下のアイツと過ごす? クリスマス・イブの夜に・・・

「すいません!! 
僕がドジなばっかりに
また東條さんに迷惑かけてしまって、
本当にすいません!!」


政文が私に深々と頭を下げた。



「なんだぁ~
また政文が失敗したのか?」


「まったく政文はぁ~・・・」


「麗奈ちゃんを怒らすなんて
やっぱ政文だなぁ。」


みんなそう言いながら、
通常の業務に戻った。



政文・・・


私、政文に救われた?



「東條さん、すいませんでした。」


政文は深々と頭を下げ、
その場を離れて行った。



「あっ・・・」


「政文に救われたね?」


晴美はニタッと悪戯に笑った。



「そんなんじゃ!!」


「でも麗奈って、
政文のことになると
いつもムキになるよねぇ~・・・」


「はぁ!? 何言ってんの!!


私は慌てて誤魔化す。


「はいはい。」


「何がはいはいよ!!
勘違いしないで!!」


「そうゆうことにしとこう。」


「ちょっと晴美!!」


晴美はひらひらと手を振り
去って行った。



たくぅ~・・・

何を勘違いしてるのよぉ・・・


私が政文なんか好きなわけないやん!!

あんなドジな奴・・・



いつもいつも「東條さん!!」
って、寄ってくるのに、
今日は晴美にべったりしてたから、
ついイラッときただけやん。


なんで私が政文なんかを・・・



政文のことでついカッと
なってしまった私、
あんな自分を出してしまったことは
失態だった。


しかし、政文絡みということで、
私の失態も別に
大きく話題になることも無かった。


あれが政文じゃなかったら・・・


いつもおしとやかで通ってる私には
かなりのマイナスイメージだ。



あれが政文じゃなかったら・・・


私が助かったのは政文のおかげ?


政文があの時助けてくれなかったら・・・

いや、あれが政文じゃなきゃ怒ってない!!



そうだ、悪いのは政文だ!!


政文のせいで・・・



私、なんで怒ってるの・・・?




「東條さん、
相変わらず綺麗やなぁ~」


先輩の男性社員が
私に声を掛けて来た。


「ありがとうございます!!」


私は満面の笑みで応える。


「今夜、飯でもどう?」


「あっ、すいません。
今日はちょっと・・・」


「そうか、残念。
じゃあ、なた今度!!」


「はい、よろしくお願いします。」


私は先輩の誘いも、
満面の笑みでサラッと交わす。



「麗奈。今日も可愛い!!」


同期の男の子が声を掛けて来ても、


「ありがとう。」


笑顔で応える。



「今夜空いてる?」


「ごめん、今日はちょっと・・・」


「そうか、じゃあまた今度!!」


「うん。」


誘いは満面の笑みでサラッと交わす。



これが私のやり方。



「あのぉ~東條さん・・・」


「はいっ!?」


私が満面の笑みで振り返ると、
そこには政文が立っていた。



「なんだ政文か・・・何!?」


「あのぉ~・・・」



何よ!?

あんたも朝から「綺麗ですね。」とか?


あんたに言われたって
嬉しくともなんともないのよ!!


私は政文を睨みつけた。



「今度のプランの資料ですけど・・・」


「プラン!?」


「はい、来週から掛かる・・・」


政文は数枚の資料を
鞄から取り出した。





今度のプランの資料?
朝から仕事の話!?


綺麗とかじゃなくて?

ご飯の誘いじゃなくて?



「これなんですけど・・・」


政文が麗奈にプランを差し出す。




ふざけんじゃないわよ・・・(怒)


私のことじゃなくて、
朝から仕事の話なんて・・・


プルプル。


麗奈は怒りで体を震わす。



「東條さん?」


政文は首を傾げながら麗奈を見た。


「あんた・・・
何しに来たの・・・?」


「えっ!? いや、
だから今度の・・・」


「そんなんわかってるわ!!」


「えっ!?」


麗奈の迫力に圧倒され、
仰け反る政文。



「私のこととかじゃなく、
朝から仕事の話?
食事の誘いとかじゃなく、
仕事の話?
ふざけんじゃないわよっ!!」


「ええっ・・」


まったく何を言ってるのか
わからない麗奈の言葉に
ただ小さくなっていく政文。