「凛坊……だと……?」
「風!」

「そんな呼び方する義理あるのかよ!」
楓が咄嗟に風の腕を掴む。

「あんたが俺達を巻き込んだんでしょ。
 作戦だって、決してよく出来ていた
とは言えなかったし。何かあったら、
右腕のアッサとクイルに任せる?
ふざけないでよ……
俺達は刺客でもなんでもない、
普通の人間なんだよ。それなのに……
凛に人まで斬らせて……」
 
風は楓の手を強く握った。

「あんたが、何とかしてよ。
凛を、凛を助けてくれ……
 頼むから……」

泣き崩れる風の横で、
静かに涙を流しながら、
風をそっと抱き寄せる楓。

風が泣いているところ、
初めて見た……

でも、もしかしたら楓には、
弱さを見せているのかもしれない。

まるでいつもそうしている様に、
風の髪をそっと撫でる楓を見て、
そう思った。