「ちょ……」
凛の呼吸がすごく荒い。

「どうしたの?」
「凛!」

風は凛を抱き上げると、頬を叩いた。
返事どころか、瞼すら開けない。

「しっかりしろ!おい、凛!」
「風……ちょっと、その手……」

私は震える指で風の手を指した。
凛を抱えた手に、べっとりと付いた血。
一体、どこから?

「凛君、わき腹押さえてる!」
「これほどの怪我を隠しながら、
ここまで走ってきたのか……」

ゼノは凛を負ぶると、言った。
「急ぐぞ。こいつは早くしねぇと、
マズイ事になる。」

「これは酷い……。」
隠れ家に戻ったアッサとクイルは、
凛の姿を見て愕然と立ち尽くした。

「出血が多すぎたせいで、
 全く意識が戻らないんだ……」
ゼノが顔を伏せる。

「凛坊がこうなったのは、
 俺のせいだ……」

その時、風が怒りを爆発させた。