彼は仲間を引き連れて、
裏門を固めていた。

「俺はジリウス、護衛隊の長だ。
俺に見つかったが年貢の納め時、
観念しな。」
 
「あーあ。俺達終わったね……」
心ない風の言葉に泣きそうになる。
 
「いや、まだだ。
まだ策はあるはずだろ、ゼノ。」
凛は声を荒げた。
 
「あぁ、もちろん。
見つかった場合も想定済みだ。」

ゼノは仲間達に目配せをすると、
数歩後ろへ退いた。
私達もそれにならう。
 
アッサとクイルと二人の大男は、
護衛隊相手に戦闘を始めた。
ゼノが声を潜める。

「いいか。
これから言う事をよく聞いて、
その通りにするんだ。」

私は走った。
裏門だけを目指して、
なるべく目立たないよう身体を低く、
出来るだけ低くして。

楓は隠れた。
身を隠しながら少しずつ、
けれど確実に裏門に向かった。

兄弟は剣を抜いた。
敵を躱し、自らの身を守りながら
中央からゆっくりと裏門に進んでいた。

二人が派手に動いているおかげで、
両端を行く姉妹は
あまり目立たなかった。