「俺はここで廊下を見張ってるから、
お前達は階段を降りろ。」
「兵士たちはどうするのー?」
「もう手は打ってある。ほら。」

ゼノの指先を追っていくと、
倒れている見張り達が見えた。
黒ずくめの恰好をした仲間が三人、
こちらに向かって手を上げている。
オーケーの合図だ。
 
風と凛が剣を抜くと、
私達は素早く廊下を駆け抜けた。
通り際に倒れた見張り達に目をやると、
何だか息がないように見えた。
気のせいだと思いたい。

風と凛も同じ事を考えているのか、
なるべくそちらを
見ないようにしている。

楓は彼らの異変に
気づいていないようだった。

階段を降り地下に着くと、
貯蔵室の古くて重そうな扉が見えた。
半開きになった扉の前に兵士が二人、
血まみれの姿で倒れている。
息は、していないように見えた。

その隣でゼノ一族きっての大男が二人
私達の到着を待っていた。
楓の悲鳴が響き渡る。
 
「どういう事だ……」
凛は目を見開いた。
 
「この見張り達、俺らの仲間に
使われちゃったみたいだね。」
風が何事もないように言った。