「おい!お前達、何をしている?」
ついに腰に剣を刺した男に、
声をかけられた。

「奥に人が残っていないか、
確認に来たんだ。」
ゼノがさらっと嘘を吐く。

「確認の為に五人も?
それに全員揃って黒服だと?
どこの隊の奴だ。」
「隊じゃねぇ、街の火消しだ。」
 「火消し屋だと?……まぁいい、
  確認して来てくれ。
  俺は先に出てるぞ。」
男は出口の方へ走りながら、
疑わしそうな目で何度か
こちらを振り返った。

「危なかったな……」
凛が額の汗を拭う。
「まったく、
どうなるかと思ったよ。」
風はそんな素振りもなく、
落ち着き払った様子で言った。
「本当にねー。桜、
もう大丈夫だよー。」
楓はそう言って、私の手を放した。

いつの間に掴んでたんだろう……
全く気付かなかった。
怖かったのは、
私だけじゃなかったんだ。

当たり前か。
ここで捕まれば、私達も打ち首。
打ち首……?
そういえばこの世界で、
私達が死ぬ事はあるのだろうか。