軽食を取って博物館を訪問し、
陽が暮れてから城に戻った。
 
王子は城内で私達が
自由に行動出来る様に、
城内の地図を渡してくれた。

既に地図を持っているなんて、
口が裂けても言えなかった。

私達はその地図を持って堂々と歩き、
着々と見張りの印を付けていった。
 
王子がくれた地図には、
地下へ続く階段と
地下貯蔵室の部分は無かった。

あと一週間で城を離れるという頃、
私達は城から出ずに互いに情報交換、
つまりお喋りをしていた。

王子はよく喋る人で、
お酒を水のように飲みながら
話し続けていた。

私はお酒に少しずつ口を付けつつ、
黙って話を聞いていた。
 
不味くて、とても飲めない。

「ここは実に素晴らしい!
 とても発展している!」
王子は既に酔って、
舌が回らなくなっている。
 
「かつては外国の侵入を受け、
 国内が乱れたが……
 この国は広く、人口も多い。
 当然、王朝に抵抗する者も出る。
 わたくしは、自信がない。
 陛下も疲労と暗殺の恐怖で
 あの様なお姿になられて……」