私は何となく右を選んだけど、
凛は目を丸くした。
「お前、見えてんのか?」
「何が?」
 
凛が拳を開くと、その手には
トルコ石のネックレスがあった。
「綺麗……これどうしたの?」
「別に。それより付けてみろよ。」
 
言われるままに首から通す。
「まぁまぁ……かな。」
 
そう言いながらも、
何だか満足そうな凛を見て、
笑みが込み上げる。

――可笑しくって、可愛くって。

翌朝、女中のノックで目が覚めた。
早々に朝食を済ませ門に向かうと、
 
王子が馬と兵を用意し待っていた。
私達はそれぞれ馬に跨ると、
図書館訪問へと向かった。
「この馬たちは、ローマの方々が
 贈ってくれたものなのです。」

馬の素晴らしさについて熱く語っている。
古代の人は不思議な物を
プレゼントしたんだなぁ……
そう思いながら聞き流す。

私がもし馬をプレゼントされたら、
きっとやり場に困るし、嬉しくない。
 
プレゼントと言えば……
私はトルコ石に触れた。
昨日凛からもらったネックレス。
こんな物、何処で手に入れたんだろう?