一通り自己紹介が済むと、
陛下と食事を取り、手土産である
織物やら何やらを上程し、
無事部屋に通された。

これらの品は全て、
ゼノの友人である海賊達が、
本来ここへ来るはずだった
中国の使者達から奪ってきた物だ。
 
その五人が今どうしているかは
考えたくない。

風と楓、私と凛で部屋を宛がわれた。
アッサとクイルは部屋の位置を
確認すると、帰って行った。
 
部屋に入ると女中に白い花を用意させ、
いつでも窓辺に置けるように飾った。
 
香を焚こうとする女中を追い払い、
床に布を敷いて座る。
地図を広げて、羽ペンで×をつけた。
見張りの印だ。

私が羽ペンの使いにくさに
戸惑っている間、
凛は向かいに腰を下ろした。

「門衛は何人いた?」
「地図に目を落としたまま凛に聞いた。
「確か、左右に並んで四人ずつだ。」
「ここは?」

地図を指して聞いても返事がない。
私は顔を上げた。
「ちゃんと聞いてるけど……」
答えながら凛は頭を掻いた。