城内で案内役を務めてくれたのは、
よく喋る女の人だった。
八人の籠担ぎ達は帰ったが、
アッサとクイルはまだ一緒だ。

女は丁寧に城中を案内した後、
とある大きな扉をノックすると、
畏まった様子で言った。
「中国よりお越しの使いの方々を
 お連れ致しました、陛下。」

中国?
私は怪訝な顔でクイルを見たけど、
合わせろという顔をしている。
「ご苦労。下がっていいぞ。」
 
女がそそくさと出て行くと、
部屋には私達と陛下だけになった。

重苦しい雰囲気が私達を包む。

陛下は私達に背を向けて
食事を取っているらしいのだけど、
何しろ椅子が大きすぎて、
姿が全く見えない。

「長旅ご苦労であった。
 この様な恰好で申し訳ないが、
 体調が優れないもので、
 お許し願いたい。」

陛下への第一印象は、
草臥れた人とか、やつれた人とか、
とにかくそんな感じだった。
 
それ程歳をとっているようには
見えないけど、何しろ古代だ。

「お会いできて光栄です、陛下。」
風はゼノに習ったように
跪いてから言った。