「行くぞ、凛。袋持て。」

風に袋を渡されて、
凛は不満そうに言った。

「たまにはお前が持て。後で交代だ。」
そう言うと一人で先に歩き出した。

風とは目を見て話すんだ……
私は凛の後に続いた。

「行こうか、楓ちゃん。」
「うん!」

楓の嬉しそうな声が、私を決心させた。
凛に生きてもらわなければ……

前を歩く凛と、
後ろに続く風達に挟まれながら、
私は凛の足跡を踏んで歩いた。

少し足早な凛に取り残されないように、
走ろうとしてつい足が縺れる。

「痛い!」
そのまま砂に手を付いた私の声に、
凛が振り返る。
 
「桜!大丈夫―?」
「平気かい、桜ちゃん。」
「ん、ありがとう……」

二人に支えられ立ち上がった私は、
恥ずかしさに俯いた。
 
凛はそのまま私を見ていたけど、
目が合うとすぐに逸らした。