私は思い切って
凛に話しかけてみた。

「何だか静かだね。」
「まぁ砂漠だからな。」

あっさりと会話が途切れる。
それでも私は諦めなかった。

「食べ物が無くなったらどうしようか。」
「あぁ……」
「聞いてる?」
「あぁ。」
「ねぇ……」 
「あぁ?」

もう話しかけない事にした。
まともな返事が返って来ないし、
こんなの会話とは言えない。

私はアホらしく思えて、
ただ歩く事に集中した。

楓と風が急に立ち止まった。
何か見つけたらしい。

「桜、こっちに池があるよ。
 早くー!」
楓が大きく手を振っている。

「ん?今行く!」
私は走ろうとしたけど、
砂に足が埋まって上手に抜けない。

転ぶ……そう思った時、
後ろから腕を強く掴まれた。
凛だ。

「足元、ちゃんと見て歩けよ。」
 
そう言って私を引っ張り上げると、
また歩き出す。