――――両手に。
片手ならまだしも、両手にだ
いや、片手でも近寄りたくはない。
だが、何故だろうか、両手だと逃げたい気持ちに刈られてしまう。
『は…』
僕はゴクリと喉を鳴らしながら固唾を呑んだ。
震えて動けない。
『逃げないのですね。正しい選択です。』
『…フエ?』
だらしない声をだし、彼女の持った刃物を見つめる。
『逃げたら、殺すところでしたから。』
『ッ…』
一歩足を後ろにずらす、もう体が何を考えているかわからない
『ご』
すっと…彼女は僕に抱き着き、首に刃物を突き立てながら言う。
『…貴方は、――――』