――――響いた。

――――――――頭に、強く。

殴りつけるように、驚愕を押さえ付け、頭に言葉が入ってくる。

―――――何回も、何回もリピートされる。

―――


『……ぁ…ッ…あぁ…ゥ?』


ただでさえ臆病な僕は、全身を震わせ


ゆっくり体を動かす。


ゆっくり…


一歩ずつ後ろに。


『……っ…、あぐぃ…』


奇妙な声を出しながら見てみると、恐れていたものは、少し下にあった?いや、居た。

綺麗な白い透き通った髪。
電球の光を何故か‘彼女’の髪は赤く反射させている。

うさぎのような、丸く赤い瞳。

ゴシックを着て、無感情な上目遣いで僕を見つめていた。

『うわっ!』

あまりに至近距離な為、10m程走って遠ざかってしまった。

『あ…、ごめんなさい、びっくりして、き』

『もっと近くに。』

『は、いぃ?』

弱々しく、へなーっとした声で尋ねた。

『近くに来て下さい。』


『あ…は、はい…』

一歩体を進めようとした、が止めた


彼女が、刃物を持っていたからだ。